ホル協便り

斑紋見取図の片面化承認について

(社)日本ホルスタイン登録協会
小林 健男


(社)日本ホルスタイン登録協会では、予てから、本会の支部・承認団体と協議を続けてまいりました片面斑紋による登録申込みについては、来年4月1日から実施する運びとなりました。
 ご承知のように、個体識別をし、個々の牛の血縁関係を明らかにすることは改良の基本であります。
 その個体識別の方法として、ホルスタイン種は斑(まだら)の斑紋を有することから斑紋で識別することは基本的に有効であることは申すまでもありません。  つまり、この品種は優れた個体確認のための特徴を備えているからであります。この斑紋を介した個体確認は、多くの一般酪農家に受け入れられ、簡単で最も安価な方法でありました。
 しかし、最近の大規模化の進展に伴って、個体確認としての識別方法も多様化されてきました。即ち、耳標、EID(データーキャリア)、入れ墨(焼き印)等です。さらに斑紋も特徴のある牛については、アメリカ、カナダ、オーストラリア等の主要国では片面を認めている国が多くなってきています。
 現に、これらの国からの輸入牛に添付されている輸出国発行の血統登録証明書が片面斑紋、耳標等のものが含まれているため、これらの国内での登録取扱いに支障(事故扱いになる)が出ている状況にあります。
 一方、わが国の血統登録頭数の推移は平成2年度の22万4千頭をピークに近年減少が著しく、地域や個人(特に大規模化の牧場)格差も大きいためいろいろの手立てを尽くしてきました。
 また、各地域での登録件数減少の要因に関して意見交換等を行ったり、アンケート調査を実施してきました。その結果、登録の必要性は認めているが、登録をしない理由として制度の複雑さや申込みの煩雑さ(特に、斑紋採取)が大半を占めていることが分かりました。
 近々、家畜個体識別事業が組織的に実施されるようになると、さらに耳標やEIDも認めることになりますが、当面は前述のような背景と登録事務のスピードアップの観点から、ホルスタイン種(系)牛の登録申込みをする場合の斑紋については、選択肢を増やして片面斑紋も認めることになります。
 なお、個体確認等の精度に支障を生じることのないよう、近く、パンフレットを作成し、本会の支部・承認団体を通じて酪農家、登録委員会等の皆様方に周知徹底を図っていきたいと考えております。
 以下、主な取扱い要領と諸注意について次の通りですが、特段のご理解とご協力をお願い申し上げます。

1.基本的事項

 血統登録(又は、基礎登録)申込みにあたっての斑紋は、原則として両面採取としますが、斑紋の特徴が明確な牛については片面斑紋も認めることにいたしました。従って、斑紋採取の選択肢は次の4通りに増えました。
1)両面スケッチング
2)両面写真
3)片面スケッチング
4)片面写真

2.片面斑紋の条件

1)必ず、左側を採取して下さい。
【一方に限定した主な理由】
  1. パドック等で複数頭飼われている中で、斑紋取りをする場合、左右何れかに統一した方が誤りが少ない。
  2. 牛の確認をする場合、片方に統一した方が容易である。
  3. スケッチングの場合、左右を見て、斑紋が簡単で取りやすい方を採取する傾向が予想される。
  4. 登録証明書の再交付申込があった場合に、血統登録(又は基礎登録)申込み時(原簿)と採取した斑紋が左右相違して確認が出来ない場合が起きる。
2)ただし、次の牛は必ず両面を採取して下さい。
(1)OC(異常斑紋)牛
(2)ET(受精卵移植)生産牛
(3)雄牛

3.更正

 斑紋更正が生じた場合は、両面斑紋で行うことにいたします。

4.登録証明書の斑紋表示

 血統登録証明書:斑紋のない右側の牛の輪郭は表示しない。
 基礎登録証明書:斑紋のない右側の牛の輪郭は表示しない。ただし、右側の輪郭を消去できない場合は、「斑紋省略」を表示する。

5.実施時期

 平成10年4月1日申込のものから。
 次に、どの程度の斑紋が片面で申込みしても良いかについては、今まで以上に斑紋の位置や形(凹凸)、数を正確に描きとる必要が出てきます。しかしながら、正確に描きとっても、特徴の少ない牛(黒がちと白がちのもの:図1)や、斑紋の形で比較的単純な牛については、片面だけでは個体確認に支障がでてくる可能性があります。
 例えば、図2のA牛、B牛はそれぞれ左側斑紋を見ただけでは、同じような斑紋で、かつ生年月日も近いため、これが同一農家に飼養された場合、左側片面斑紋の登録では正確な個体確認が出来ません。その場合には両面を採取して下さい。
 では、片面で差し支えない斑紋とはどのようなものなのでしょうか。残念ながら、この判断は斑紋採取者に負うところが大きく、明確な定義を記述することは難しいでしょう。
 ただし、目安としては、左側斑紋に3ヵ所以上の特徴と思われる形があれば、概ね個体確認ができると思われるので、図3のような場合は、片面だけでよいと判断して構わないでしょう。
 従って、左側の斑紋だけでは個体確認が難しいと思われる牛については、従来通り両面を採取して下さい。
 なお、登録申込書は現行の両面斑紋用(都道府県の場合)を使用して下さい。

図1 この場合は必ず両面を採る! 図2 右側の斑紋があってはじめて判別が可能 図3 3ヵ所以上の特徴その1 図4 3ヵ所以上の特徴その2

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